CPAP療法は中等度から重症度に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。交通事故リスクでは、一般ドライバーと同程度まで低下するとの報告があります。
睡眠時無呼吸症候群・禁煙外来
睡眠時無呼吸症候群・禁煙外来

睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)は、寝ている間に一時的に呼吸が止まる疾患です。睡眠中、平均して1時間に5回以上起こり、それぞれ呼吸停止が10秒以上認められると本症と定義されます。代表的な症状は“いびき”で、眠りが浅くなるため、日中に強い眠気や倦怠感を生じることがあります。
SASの頻度は、人口の約2~4%とされていて、肥満体型に多いとされていますが、治療が必要とされる群のうちの約3割はやせ型を含めた非肥満例との報告があります。やせ型の人でもSASを発症する原因として、顎の骨格の問題が指摘されています。
SASは生活習慣病と密接に関係し、血管・心臓・脳に大きな負担がかかり、高血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの発症頻度が2~4倍に上昇するという報告もあります。また、交通事故のリスクは一般ドライバーの約2.4倍多いとの報告があります。できるだけ早く診断し、治療をはじめることが大切です。
当院ではご自宅でできる簡易ポリグラフ検査を実施しています。簡易検査は手指や鼻下にセンサーを装着し、睡眠中の呼吸などを調べられます。簡易ポリグラフ検査も、その後の治療も健康保険適応です。


次のような状況になった(予想を含めて)場合、どのくらいうとうとする(数秒~数分眠ってしまう)と思いますか?最近の日常生活を思い浮かべてお答えください。11点以上と日中の眠気が強い方は、SASの検査を受けることをお勧めします。

原因として鼻からのどぼとけにかけての狭窄があります。狭くなった気道のすき間を空気が通ることで“いびき”が生じます。いびきの要因は、肥満による首や喉(のど)まわりの脂肪沈着、あごが十分発育していない小顎症(しょうがくしょう)、扁桃肥大、舌根(ぜっこん)・口蓋垂(こうがいすい)・軟口蓋(なんこうがい)による狭窄など、解剖学的なものがあります。また、加齢や睡眠時における呼吸の調節能力の低下など、機能的な要因も関連します。
睡眠時無呼吸症候群は、男性は30~60代によくみられ、女性は更年期以降に多く、閉経によるホルモンバランスの変化も一因とされています。
減量
肥満のある場合には減量が重要です。体重を10%減らすと、AHI(無呼吸低呼吸指数)が26%減少したという報告があります。
節酒
飲酒はのどの筋肉を弛緩させ、気道が狭くなりやすくなるため、就寝前の飲酒には注意が必要です。
体位の工夫
仰向けと比べると、横向き寝は気道が確保されやすくなります。
眠剤・抗不安薬の減薬
これらの薬剤の一部で、気道の筋肉が弛緩する可能性があるので、不安な方はご相談ください。

CPAP療法は中等度から重症度に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開存させて治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。交通事故リスクでは、一般ドライバーと同程度まで低下するとの報告があります。
当院では保険診療にて禁煙外来を実施しています。保険診療の適応で診療可能かどうか、喫煙状況、禁煙の意志などを確認してからの治療となります。
1ヶ月程度で咳・痰や喘鳴が改善し、1年で慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者で呼吸機能が改善、2年で虚血性心疾患(=狭心症や心筋梗塞)発症率は喫煙者の約半数となり、10~14年で肺がんは喫煙者のほぼ半分になるとの報告があります。禁煙外来は3ヶ月間で終了し、通院回数は初診時を含めて計5回です。
体に悪いことはわかっていてもタバコをやめられない――。そんなお悩みはありませんか?禁煙外来は無理をせず、高確率で禁煙を開始するための外来です。
自力で禁煙することが難しいのは、(加熱式)タバコに含まれているニコチンに依存性があるためです。喫煙する方の多くは、ニコチンに依存してしまう状態にあります。この状態はニコチン依存症といわれ病気として医療機関で保険診療が実施されています。
禁煙外来では、医師による指導やアドバイスに加えて、禁煙補助薬の処方を受けることができます。禁煙補助薬を用いた治療では、離脱症状が緩和されるため自力で禁煙するよりも、比較的楽に禁煙することが可能になります。「タバコをやめたくてもなかなかやめられない」そんなときは、お気軽に禁煙外来にお越しください。
禁煙が難しいのは、ニコチンに対しての身体的な依存と、喫煙習慣による心理的な依存を同時に克服していかなければならないためです。
ニコチンの身体的依存は、ニコチンが脳に作用し快楽物質であるドパミンを放出させることに起因します。このときに「気分が落ち着く」「ストレスがとれた」という感覚を覚えます。これを繰り返すうちに、ニコチンがないとイライラしたり落ち着かない、といったニコチン切れの症状(禁断症状)が現れるようになります。
禁断症状はニコチンの濃度が低下するときに出現します。治療用ニコチンパッチはニコチン濃度を一定に保ち、急激な濃度低下を起こさないため、この禁断症状を起こしにくく、仮にニコチンパッチを貼付した状態で喫煙してもすでに脳内にパッチ由来のニコチンが先回りしているため、タバコをおいしいとは感じづらくなります。

ニコチンの心理的依存とは、仕事や家事などが一区切りついた時に、習慣として喫煙してしまう状態のことです。タバコを吸ってよかったという記憶に由来します。吸った直後には、ほっとした感覚はあるかもしれません。
しかし、吸ってからしばらく時間が経った時にみられる“タバコがないと落ち着かない”という身体的依存は耐えるのが大変で、タバコに気持ちを支配される状態になってしまいます。当院スタッフとともに、禁煙を勝ち取りましょう。
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