骨粗しょう症とは

骨粗しょう症の分類（原発性と続発性）

骨粗しょう症は、原発性骨粗しょう症と続発性骨粗しょう症に分けられます。原発性骨粗しょう症は加齢および女性ホルモン（エストロゲン）の低下（おもに閉経による）により起こり、骨粗しょう症の90%以上を占めます。

骨粗しょう症の10%未満を占める続発性骨粗しょう症には、糖尿病、慢性腎臓病、関節リウマチ、腸管からの吸収不良、不動性、ある種のホルモン過剰（副甲状腺ホルモン；原発性甲状腺機能亢進症、甲状腺ホルモン；バセドウ病、副腎皮質ステロイドホルモン；クッシング症候群などが代表的）や薬剤（ステロイドホルモン、ある種の抗糖尿病薬、ある種の利尿薬など）などがあります。

糖尿病と骨粗しょう症

糖尿病では骨折率が上昇しますが、骨密度は骨折率の上昇に比べると大きく低下していないといわれています。骨の強さは骨密度と骨質で構成され、高血糖・酸化ストレス増大により糖化最終産物（AGEs）が骨質と骨形成を低下させるといわれています。AGEsは骨質（骨のしなやかさ）を奪ってしまうのです。

バセドウ病と骨粗しょう症

甲状腺ホルモンは骨にも作用し、骨代謝を速めます。甲状腺機能亢進症では、骨を壊す方が強く骨密度が低下します。バセドウ病の方は、骨密度の検査を一度受けてみるとよいでしょう。

原発性骨粗しょう症の主な原因

骨粗しょう症は骨強度（骨の強さ）が低下して骨折しやすい状態になりますが、この骨強度は、骨量の指標となる「骨密度」と、骨構造などの「骨質」の要因によって決まります。女性の骨量は、成長期に増加し20歳頃に最大骨量に達します。40歳代に入ると卵巣機能が衰え始め骨量が減少してきます。閉経前後の50歳頃からは女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に低下し、さらに骨量の減少をきたします。エストロゲンは、破骨細胞（古い骨を吸収する細胞）と、骨芽細胞（新しい骨を作る細胞）の両方に作用します。閉経に伴いエストロゲンが欠乏することで、破骨細胞による骨吸収が亢進して、骨量が減少すると考えられています。

また、ダイエットや偏食（カルシウム摂取不足）、運動不足、日光照射不足、喫煙、過度のアルコール摂取などの生活習慣も骨粗しょう症の原因となります。生涯を通じての骨粗しょう症の予防は、獲得する最大骨量を多くして、骨量減少を最小限にとどめることを基本とし、生活の中で除去できる危険因子を早期に取り除くこと、といえます。

骨粗しょう症の診断

骨粗しょう症の診断は、骨粗しょう症に特徴的な脆弱性骨折（立った高さからの転倒や、それより弱いわずかな外力によって生じる骨折）の有無、および骨密度などを参考にして行います。
診断がつけば、他の疾患が原因の続発性骨粗しょう症、骨粗しょう症に類縁する疾患（骨軟化症など）の鑑別を行います。また、骨代謝（骨形成、骨吸収）のバランスを評価します。

骨折を起こしにくい生活習慣

• 乳製品（チーズやヨーグルト）、きのこ類を含めたバランスの良い食事
• 日光にあたる
• 禁煙
• 節酒
• 睡眠薬はのみすぎない
• 筋トレを含めた運動

食事

運動

運動不足は骨密度を低下させる要因の一つです。適度な運動は骨に圧力がかかり、その刺激が骨の形成を促進します。日常のなかに散歩や階段昇降などの運動を習慣として取り入れましょう。また、運動は転倒予防にも重要な役割を担っています。運動不足は筋肉量の低下を起こし、転倒リスクが高まります。転倒は高齢になるにつれて発生頻度が増加しますが、転倒により、大腿骨頚部を骨折してしまうと寝たきりの生活を余儀なくされます。無理のない運動を継続して行い、骨と筋肉の健康を維持していきましょう。

次の項目に該当する方も治療で骨折リスクを低下しましょう

• 骨折歴のある方
• 糖尿病で糖尿病歴10年以上、HbA1cが8%以上、低血糖が多い、起立性低血圧のある方など
• ステロイド、チアゾリジン薬を服用中の方

薬物療法