低血糖症とは

低血糖の症状

• お腹がすく
• 動悸
• 冷や汗が止まらない
• めまいがする
• 手がふるえる
• 不安になる
• あくび、眠気、強い脱力感
• 目がかすむ
• 集中力が低下する
• 意識がもうろうとする、異常行動
• けいれん
• 昏睡状態

低血糖の症状は人によって個人差があります。症状がすぐに出る人もいれば、低血糖に慣れてしまっている人や、ある種の降圧剤を服用している人などではなかなか低血糖に気づかない人もいます。低血糖症状はなくても検査等で低血糖を指摘されたり、低血糖の不安がある方は、当院に是非ご相談ください。

低血糖の原因

低血糖が起こる原因は大きく二つに分かれます。血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンは、低血糖時では低値となっているはずですが、そのインスリン値が高値の場合と、低値の場合があります。当院では、症状がある場合には当日には血中インスリン濃度を測定できますので、ご心配な方はご相談ください。

意外と多い「食後低血糖」

反応性低血糖（食後低血糖）

低血糖症があり、糖尿病の治療をされていない場合には、まず本症の可能性を確認します。本症は食事をしてから5時間以内に低血糖症状が出現するのが一般的です。おにぎりやうどんなどの糖質がメインの食後に起こりやすいです。このような食事は、食後の急激な高血糖を誘導しやすく、それに対応して膵臓から多量のインスリンが分泌されます。これにより、食後高血糖に続く低血糖が起こります。

これは、胃摘出術を受けた方で顕著（食べた食事が直接、小腸へ移動し急激な高血糖を起こすため）ですが、特別な基礎疾患がなくても、お昼に単純な糖質メインの食事をとり、忙しく動き回っている日は注意が必要です。当院では、症状がある場合には、当日にインスリンを測定します。低血糖症状がない状況では、後日経口ブドウ糖負荷試験による精密検査や、フリースタイルリブレなどを用いた血糖値の推移を確認する検査を受けていただくことが可能です。気になる症状のある方は是非お気軽にご相談ください。

食後低血糖の有無を評価したら、次にインスリン高値か、インスリン低値かの確認をします。インスリンが高値の場合には、食後高血糖（胃摘出術後を含む）、糖尿病治療中、インスリノーマなどが考えられます。インスリンが低値の場合は、薬剤性、重度の肝臓・腎臓機能障害、腹部の大きな腫瘍やがん、副腎不全、低栄養などが原因として挙げられます。

糖尿病治療が原因の低血糖

インスリンの血中濃度を高くする治療（インスリン注射、スルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬）をしている方で起こりやすく、特に以下のような時に注意が必要です。

• インスリンの種類や量を間違えて打ってしまった
• インスリンを打ったが、食事摂取量が少なかったり食事の開始が遅くなった
• 普段より多く運動をした
• 普段打っている部位とずらしてインスリンを打った（インスリンボール）
• 主食をとらずに飲酒だけした

低血糖の対処方法・注意点

糖尿病治療薬のうち、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用しているとき

砂糖（ショ糖）の吸収が遅くなっているため、ブドウ糖を服用してください。ただし、ブドウ糖液を含むジュースも良いです。砂糖しかない場合は効果はやや遅くなりますが、服用してください。

自分で対処するのが難しいとき

無自覚低血糖（警告症状がなく突然意識障害となる）を起こしたことがある方、夜間低血糖が多い方は、外出時には糖尿病連携手帳を普段から携帯したり、ご家族に低血糖のことやその対処方法（点鼻薬使用方法など）について知っておいてもらいましょう

グルカゴン点鼻薬が処方されている方

無自覚低血糖を起こす方に有用です。使用に際しては、あらかじめ当院で指導を受けていただくことを推奨します。また、お出かけなどの際は、必ずこの点鼻薬を持ち歩くようにしましょう。

低血糖症の治療

低血糖の症状が起こった時には、軽度の場合にはブドウ糖を摂取することで症状の回復が見込めます。夜間に低血糖を起こした場合は、夜間の再度の低血糖を回避する目的で、ブドウ糖服用後に、牛乳1杯またはビスケット2枚を摂取してください。軽度であったとしても繰り返すようであれば何か他の病気が原因になっている可能性もありますし、服用している薬の種類や量が適切でない場合もありますので、お困りの際はご相談ください。